体臭アドバイザーの川井優です!
∩`・◇・)コンニチワッ!!
今回は”ワキガ”だけでなく”体臭”に深く関わる
2つの汗腺について取り上げたいと思います。
体臭の原因にもなる汗を作り出す”汗腺”には
「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」の
2種類あることはすでにお伝えした通りです。
この2種類の汗腺ですが、
体臭とは切っても切れない関係で
耳にタコが出来るほど聞くことになる
非常に重要なワードです。
今回はそれぞれが持つ特徴や構造、機能などについて
深く掘り下げ、正体を明らかにしたいと思います。
良く読んでいただき、
汗腺に関する知識を深めましょう〜^^
そもそも『汗腺』って何?
人間の汗が出る穴を汗腺と言いますが
大きく2種類の汗腺があります。
エクリン腺は誰でも全身に分布し、
主に体温が上昇すると発汗し汗が蒸発することで
体温を下げるなど体温調整が主な役割です。
いっぽう、アポクリン腺からの汗は個人差があり
ほとんど発汗しない人と活発に発汗する人がいます。
アポクリン腺が発達している人が
いわゆるワキガ臭といわれる独特の臭いが発生します。
また、アポクリン腺が「大汗腺」と呼ばれるのに対して、
エクリン腺は肉眼では見つけにくく「小汗腺」と言われます。
動物の汗腺
すこし余談ですが、動物って
あまり汗をかくイメージはありませんよね?
動物も人間と同じように汗腺を持っているのでしょうか。
例えばネコには四肢の裏側にだけ汗腺が存在します。
いっぽう、イヌやオオカミには汗腺として
機能するものがありません。
では体温調節はどうやっているのかと言うと、
舌を出して”ハッハッ!”と激しい呼吸を行う
あの動作が関係しています。
あの行動は「パンティング」と言って
舌に付着した唾液を蒸発させて体温調節をおこなう
大切な役割を持っているんです。
ちなみに水中での生活に近しい動物、
クジラやカバも汗腺を持っていません。
では本題に戻りましょう!
エクリン腺とアポクリン腺との違い、働きや
臭いの原因物質などを詳しくご説明しますね。
エクリン汗腺とは?
別名「小汗腺」。成分は99%以上が水分で,
微量の塩分やカリウムが含まれる酸性溶液であり、
体温を調整する機能を果たしています。
温熱刺激や精神的緊張、味覚刺激によって発汗しますが、
特に精神的緊張の場合、発汗作用が強まります。
暑い時や緊張した時にかく汗はエクリン腺の働きによるものです。
また、「今日は汗をかいたな〜」と感じていなくても
1日に産生する汗は平均700〜900mlと言われ、
真夏やスポーツ時ともなると3リットル程度もの汗が
分泌されているんです。
エクリン汗腺の発生について
エクリン汗腺の原器は胎生3~4ヶ月頃に
初めに手掌と足底に出現します。
そして胎生5ヶ月末くらいで
全ての体表面にエクリン汗腺の原器が出現し、
胎生8ヶ月ころには成人と同様の構造を示す
エクリン汗腺が形成されると言われています。
エクリン汗腺は体のどこにあるのか?
エクリン腺はほぼ全身にくまなく分布し、
その数は200万個〜500万個(分布密度は130〜600個/cm2ほど)
といわれ、
比較的に皮膚の浅めのところにあり、
毛穴とは別の皮膚表面に開口しています。
特に手のひらや足の裏に多く集まっているのですが、
分布の仕方をよーく見ると部位によって
配置に特徴があり面白いんですよ。
エクリン汗腺の分布の違い
手のひらや足の裏ではシワとシワの間(つまり凸部分)に
多く汗腺があるのですが、
これは物をつかむ動作やとっさに行動しようとする時に
汗によって滑り止めの役割を果たすためだと言われています。
それ以外の部位では、できるだけ効率よく汗を
蒸発させるためにシワとシワの交点によく見られます。
アポクリン汗腺とは?
別名「大汗腺」。アポクリン汗腺は哺乳類の芳香腺が退化したもので、
数はエクリン汗腺より少なく、 毛器官とともに発生しますが、
出生後に一時退化します。そして思春期以降に再び発達します。
アクポリン汗腺による発汗は「アドレナリン作動性」と考えられ、
主に情緒刺激によって発汗します。
アポクリン汗腺は体内調節性発汗時には機能しないため、
体温調節の役目は果たしていません。
その汗は粘稠性(ねんちゅうせい)で無臭なのですが、
皮表に出ると常在細菌によって分解されて
臭気を帯びるようになってしまいます。
アポクリン汗腺由来からの汗が
乳白色または黄色っぽい色をしているのは、
エクリン汗腺からの汗と同じ成分に加え、
脂質とタンパク質が加わっているためです。
そして、これらの成分が体臭のもとになっているわけですね。
この臭気が強いと「ワキガ」と言われる悪臭になります!
また、腺の発達が性ホルモンと関係していることから
性機能との関連も考えられています
誰でもアポクリン汗腺はある?
アポクリン腺は誰にでもあります。
しかし、
アポクリン腺からの汗が原因であきらかに他の体臭と
異なる独特の臭いが出ていると感じられる人、
つまりアポクリン腺が活発に活動している人は
日本人では10%程度です。
このアポクリン腺が発達している人がワキガ体質と言われます。
アポクリン腺から出る汗が、特に臭いが強くなるのは、
異性を意識したときとか性的な興奮状態にあるときです。
エクリン腺からの発汗に加えて、
そこに異性が介在するさまざまな場面で初めて、
アポクリン腺からも汗が出てくる訳です。
同時に発汗、増幅してワキガ臭が一段と強烈にあることもあります。
アポクリン汗腺は体のどこにあるのか?
エクリン汗腺は皮膚の比較的浅いところにありますが、
アポクリン汗腺は一般にエクリン汗腺より深い所にあります。
分布場所は、腋のしたや外耳道、鼻翼、鼻前庭のほか、
成人男性の顔の髭の生えた部分の皮膚にも、
またその他の部位にもわずかに存在しています。
わきの下はアポクリン腺が集中するほかに
精神性発汗もしやすく、
皮膚が重なり湿度が高く汚れやすいのでニオイが
強くなりやすい部位です。
また、生殖器周辺や乳房周辺にも存在しますが、
こちらも皮膚が重なりニオイが強くなりやすいです。
陰部周辺のアポクリン腺のワキガは”スソワキガ”ともいわれています。
「能動汗腺」について
ここまで、2種類の汗腺をご説明しましたが、
その中で活動している汗腺のことを総じて「能動汗腺」と言います。
能動汗腺の数で…
能動汗腺の数は2~3歳で決まるといわれていて、
生涯を通じてその数はかわりません。
この時期に汗をかかないと、汗腺そのものが活動しなくなります。
同じ環境にいても「汗っかきな人」と「汗をかきにくい人」がいると思いますが
違いはここにあるんです。
すでにふれましたがエクリン汗腺の数は大体200~500万個あります。
日本人はそのうち能動汗腺の数は230万個くらいといわれているのですが、
今の子供たちはさらにその半分くらいではないかと予測されています。
ちなみにクーラーが普及しはじめた1970年代以降の世代は
汗をかく機会が減った=あまり汗をかけなくなったといわれています。
さてここで、
「汗をかきにくい」ほうが汗の悩みも少なくて羨ましい、と思ったかた。
そうではありませんよ!
汗をかくこと
また別の記事に詳しくまとめる予定ですが、
汗というのは、
体温調節や代謝を高めるのにとても重要なものです。
能動汗腺が少ないとバテやすかったり、熱中症や自律神経失調症にも
なりやすくなり大変危険です。
ちなみに寒い地域で生まれた人と暑い地域で生まれた人でも
違いがあります。
ただ、熱帯の人たちが能動汗腺が多いから汗かきか?
というとそうではなく、
代謝を下げたり皮膚温を高めるなどに体が適応しており、
汗を大量にかいても脱水から身を守ってくれるようです。
その環境によって機能が進化するところが非常に興味深いですよね。
「皮脂腺」とは?
今回のテーマである”汗腺”からはハズれてしまいますが
ワキガ臭が発生する原因の説明として、
「エクリン汗腺」「アポクリン汗腺」の2つの汗腺とともに
必ず目にすることになるであろう「皮脂腺」についても
しっかりふれさせていただきます。
皮脂腺の分布
皮脂腺は皮脂を生み出す器官で、毛穴に開口しています。
手のひらや足底を除いたほぼ全身に分布していて、
体毛1本に対してそれぞれ皮脂腺が存在しますが、
特に発達した皮脂腺が多数集まった部位を「脂漏部位」と言います。
体の場所によって皮脂腺が発達しているところと
そうでないところがあるのも特徴です。
皮脂の分泌量は、その皮脂腺が発達している部位に多くなります。
最も多いのは頭皮で、
ほかには額・鼻なども皮脂の分泌量の多いところです。
皮脂の成分と役割
皮脂を構成する成分は、
ワックスエステル(約25%)、スクアレン(約12%)、
トリグリセライド(約60%)などになります。
毛穴から出て角層の表面に広がり、
水分の蒸散を防いで肌のうるおいを守る役割をします。
皮脂の量は気温が高くなると増加します。
あとは年齢で見てみると、思春期以降から20代にかけて急激に増加し、
その後、だいたいは徐々に減少していきます(男女差あり)
皮脂はうるおいを守るのに大切なものなのですが、
多すぎると、肌が汚れやすくなったり、刺激になったりもします。
また、ストレスを受けると体内の活性酸素が急激に増加して
皮脂腺が活発になりますが、
この際に分泌された皮脂は通常より強い臭いをともないます。
この皮脂が汗などと一緒に、
常在菌などによって分解、酸化されることにより
不快なニオイを発生するようになる、ということです。。
まとめ
今回は代表的な2種類の汗腺である
「エクリン汗腺」「アポクリン汗腺」にフォーカスしてみました。
専門的だったため少々難しい部分もあったかと思います。
しかし、だいぶそれぞれの特徴や機能、分布の仕方などが
具体的にご理解いただけたのではないでしょうか。
エクリン腺は「進化した汗腺」と考えられ
毛と結びついていないのに対し、
アポクリン腺は「退化した汗腺」と考えられ
毛と結びついています。
そして汗腺のほとんどが エクリン腺で、
アポクリン腺は腋など体の一部に残っているのみです。
どうやら体温調節機能の効率の違いによってエクリン腺は進化し、
アポクリン腺は退化していったようですよ〜。
それでは本日はここまで!
次回はワキガに話を戻したいと思います。
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